特集
多発する災害と紛争
資金不足はかつてない水準に
2023年に必要とされた額228億米ドルに対して、国連WFPが調達できた金額は83億米ドルにとどまり、必要額の60%を超える145億米ドルが不足するという歴史的な資金不足に陥りました。
Ukraine War
©WFP/Anna AndrusenkoPalestine conflict
©WFP/Ali JadallahSudan conflict
©WFP/Hugh RutherfordLibya flood
©WFP/Maysaa Al GhribawyCyclone Mocha
©WFP/Thar NgeSomalia drought, flood
©WFP/Geneva Costopulos, ©WFP/Arete/Abdirahman Yussuf MohamudAfghanistan earthquake
©WFP/Hasib HazinyarAfghanistan earthquake
©WFP/Hasib HazinyarTürkiye-Syria earthquake
©WFP/GuatemalaTürkiye-Syria earthquake
©WFP/Giulio d'Adamo
2022年から続くウクライナ戦争とその影響による食料・燃料価格の高騰や、スーダン、パレスチナなどで激化する紛争、リビア洪水、トルコ・シリア地震、アフガニスタン地震、気候変動による干ばつといった自然災害などにより、世界中で食料支援の必要性・緊急性が増しています。2023年、世界では8億人近い人びとが飢餓に苦しみ、3億3,300万人が深刻な食料不安(IPC3以上)に直面。さらに4,680万人が緊急レベルの飢餓(IPC4以上)に陥っており、栄養不良で死亡する危険にさらされながら、生き残るために必死の対応を迫られました。
飢餓に直面する人びとにとって、国連WFPの食料支援は重要な命綱です。しかし国連WFPは2023年、60年という歴史の中で最大の資金不足に直面し、アフガニスタン、バングラデシュ、コンゴ民主共和国、ハイチ、ヨルダン、パレスチナ、南スーダン、ソマリア、シリアといった“飢餓のホットスポット”と呼ばれる国や地域で大幅に支援を削減せざるを得ない状況に陥りました。支援を削ることは助けを必要とする人の数がさらに増加することにつながり、負の連鎖が一層加速する恐れがあります。
国連WFPは「食料支援が1%削減されるごとに40万人以上が飢餓の瀬戸際に追い込まれる危険性がある」と推定しており、今後、飢餓レベルが一層高まることが懸念されます。
2023年の不足資金
4億5,000万米ドル
2020年から2年以上続いた干ばつと2023年10月の大雨・洪水によりソマリア全土で食料不安が深刻化。資金不足により最も食料を必要としている人びとの半分以下しか支援できず、またレジリエンスを構築するための長期的な投資も困難になっています。
2023年の不足資金
8億4,030万米ドル
繰り返される紛争などによって、国内避難民の数はおよそ530万人に。食料不安に陥っている390万人への支援を目標にしているものの、支援の継続と効率性の追求が困難となっており、さらに子どもたちが栄養価の高い食品にアクセスするための資金も不足しています。
2023年の不足資金
10億米ドル
2021年のタリバン復権や長引く紛争、経済の崩壊と、2023年10月に起きた大地震により、人口の36%にあたる1,580万人が急性食料不安に。食料支援の削減を余儀なくされた結果、2023年に支援を打ち切られた人の数が1,000万人に到達しました。
2023年の不足資金
1億883万米ドル
武装集団による暴力、深刻な経済悪化、雨季の遅れなどによって、人口の44%(435万人)が急性食料不安に陥り、140万人が緊急レベルの飢餓に直面。しかし資金不足により、10万人への支援が削減され、さらに10万人の子どもたちへの支援削減も懸念されています。
2月6日、トルコとシリアの国境沿いでマグニチュード7.8の地震が発生。両国合わせて5万人以上の方が亡くなり、トルコだけで330万人が家を失うなど、およそ2,200万人に大きな影響を与えました。国連WFPは地震発生から2カ月の間に、最大370万人の地震被災者に食料支援を実施。食料は調理を必要とせず、凍てつく寒さにさらされる被災者に即時の救済をもたらしました。
戦争勃発以降、1,100万人が支援を必要とする中で、国連WFPは毎月約300万人に食料や現金を支給しました(2023年3月時点)。また、食料支援を必要とする国々への大幅な供給削減の要因になった、黒海の港の封鎖に対しても国連WFPは取り組んでおり、一例として黒海の港の再開を支援し、24隻以上の穀物輸送船で数十万トンの小麦を出荷しました。
4月15日の紛争勃発以降、数百万人が避難を余儀なくされ、近隣諸国に到着した難民や、国内避難民に対して国連WFPは緊急食料支援を実施しました。紛争が起こる前から人口の約3分の1が飢餓に直面しており、人道支援を標的とした攻撃が支援活動に深刻な影響を与える中、24時間体制で食料の調達と輸送に取り組むなど、緊急対応を拡大しました。
日本人職員に聞くリビア東部の港町デルナなどを直撃したハリケーン・ダニエルが引き起こした洪水は、5,000人以上の命を奪い、家屋を水没させ、数十万人の生活を破壊しました。国連WFPは現地のパートナー機関と連携し、救命支援を提供するための資源を迅速に動員。日本政府から緊急に支援された食料や、国連WFP協会を通じた日本の皆様からのご支援によって洪水に見舞われた人びとを支援しました。
現地からのお礼10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルに大規模な攻撃を仕掛けたことでパレスチナ・ガザ地区での紛争が激化。170万人が避難生活を強いられ、水、衛生、保健医療などのインフラに甚大な被害をもたらしました。国連WFPは10月7日以降、ガザ地区の住民に食料を届けましたが、その量は飢餓と栄養不良、病気の組み合わせを防ぐには十分ではなく、特に北部地域はすべての支援が足りていません。食料不安は壊滅的なレベルであり、全人口(220万人)が危機的あるいはそれ以上の深刻な飢餓に直面しました。
国連WFP協会の取り組み
2023年度、国連WFP協会に寄せられた企業・団体、個人の皆様からのご寄付は約32.1億円に。このうちWFP国連世界食糧計画に送金した寄付額は約24.2億円で、その中の約5億円を“誰も取り残さない”という方針のもと「使途指定なし」として送金し、国連WFPが最も資金を必要とする支援活動に活用させていただきました。
国連WFPが活動している世界の120以上の国と地域の中でも、緊急性の高い国・地域・プロジェクトや支援者の指定する国と地域を中心に送金しています。
「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」は、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「質の高い教育をみんなに」など、2030年までに達成すべき17の国際社会の共通目標をまとめたものです。国連WFPは、目標2「飢餓をゼロに」が他の目標達成の基盤にもなるとの考えのもと、パートナーシップを通じて活動し、全てのSDGsの達成に貢献しています。
年中無休で受け付けています。クレジットカードや銀行振込にてご寄付いただけます。
寄付金は、国連WFP協会を経由してWFP国連世界食糧計画ローマ本部へ送金されます。
輸送コストを抑えると同時に途上国の農業を振興するために、食料は可能な限り近隣地域から購入します。
船やトラック、航空機を使用して食料を輸送します。
食料が確実に到着し、保管されているかチェックします。倉庫内の品質管理も怠りません。
女性・子どもをはじめ支援を必要とする人びとへ確実に届けています。
モニタリング 支援を必要としている人びとに確実に届けています
今後の年次報告書内容の充実のためアンケートを実施します。
下記リンクからアンケートにお答えいただき、率直なご意見・ご要望・ご感想をお聞かせください。
※アンケートの回答は統計的に処理され、特定の個人が識別できる情報として公表されることはございません。